バンディエラとは?企業にも共通するポイント・・
チームにおける「バンディエラ」とは?
サッカーチームにおける「バンディエラ」とは、イタリア語で「旗手」の意味で、同じチームに長く在籍しているチームの象徴のような選手のことを指します。語源がイタリアなためか、サッカー用語としては定着しているものの、他のスポーツではあまり使われません。(野球なら”生え抜き”?)
「バンディエラ」となった例を挙げると、海外であれば、ローマ(セリエA)のトッティ、リバプール(プレミア)のジェラード、バルセロナ(リーガ)のシャビ、などが頭に浮かびます。日本であれば、川崎フロンターレの中村謙剛、ガンバ大阪の遠藤保人(現ジュビロ)あたりでしょうか?最近までJリーグを最前線で引っ張ってきたこの二選手は、A代表に呼ばれる選手がこぞって海外へ出ていく中で、あえて日本に留まり、自身が所属するチームのレベル底上げに貢献してきた歴史も含めて、真の「バンディエラ」と言えるでしょう。
チームにおける「バンディエラ」の重要性
サッカーは言うまでもなくチームスポーツです。チームで勝利することがミッションです。しかし、チーム全員が強く同じ方向を向いている高校サッカーとは若干異なり、プロである以上、個人として市場価値を上げるためのアピールは必要ですし、その試合に賭ける想いの強さも、各自の置かれた状況により個人差があって然るべきでしょう。さらに、チームをマネジメントする監督の存在もあります。監督との人間的な相性・監督が落とし込む戦術との相性もあり、チームとしての「個人」と「組織」の融合は尽きない課題です。
そして、この「チームを一つにする」という点において、「バンディエラ」の果たす役割は非常に大きいと言えます。世代の異なるメンバーの繋ぎ役、暴走しがちなメンバーへの重り、監督の声を選手目線で解釈するコミュニケーター、求められる役割をあげたらキリがないですが、一番大きな役割は、チーム全員のチームに対するロイヤリティを高めることでしょう。チームが一つにまとまるための、引力の拠り所とでもいうか…。そしてこれは、具体的なタスクというより、背中を見せることで周りに影響を与えられる「バンディエラ」と認められた者にしか務まらない、大切な責務です。
企業組織もチーム、必要な「バンディエラ」
そして、この「バンディエラ」の担うべき役割は、民間企業においても同じことがいえるでしょう。
企業理念・ミッションステートメントはそうそう変わることはないと思いますが、年度毎に設定された「ゴール」へ向かうための具体的なアクションプランと成果指標、部署毎・個人毎に設定されたKPI等々・・・、目先の目標は部署&個人で異なるものの会社として目指すべき「ゴール」ははっきりしている、しかし「ゴール」へ向かう道筋は一つではなく、何人ものメンバーを介し繋がって進んでいく・・・、これはサッカーと面白いほどに重なると思います。
そして、企業においてもやはり、引力の拠り所は必要でしょう。会社に強いロイヤリティを持ったメンバーが、文字通り「旗手」となって仕事を動かしていく、そこに求心力が生まれれば周りを巻き込み、強いフォーメーションが出来上がります。中途採用市場が活況を呈している現代社会においても、企業が定期的に「新卒(純血)」を採用する大きな目的の一つは、この「バンディエラ」としての将来に向けた期待ではないでしょうか?