年賀状は、2003年から半分以下に・・


PCの普及 → 年賀状の投函数アップ

小学生のころ、毎年年賀状を何枚もらえるか楽しみで、枚数を競い合ったのも懐かしい思い出です。年賀状のデザインをどうしようか頭を悩ませ、字が上手な人はまさに年一のお披露目の場になり、年賀状に載せる写真を探し・・、年賀状の準備は年の瀬を感じる一大行事だったように感じます。

プリントゴッコ(RISO社)が手書きの作業負担を一気に軽減し、素人でもそれなりのクオリティのものを量産できるように。これは当時かなり画期的でしたね。1995年以降PCが一般家庭にも普及し、画像の加工・デザインを容易にできるようになり、また外部のデザイン素材を取込むことで、これまで写真屋さんに依頼していたレベルの作業を家庭内で完結できるようになりました。

デザインを個人でできるようになったおかげで、年賀状は単なる「挨拶状」から、各々の家庭の個性をお披露目しあう「プレゼンツール」の様相を帯びてきました。小さい子供のいる家庭では、いかに自分の子供を可愛く見せるか写真を厳選し、旅行が好きな家庭では、旅先で撮ったとっておきの一枚をどう魅せるか工夫を凝らします。そして今振返ると、一般家庭でPCを使う楽しさが認知されてきたこの時代こそが、年賀状投函数のピークだったようです。


SNSの普及 → 年賀状衰退へ向けて

2003年が投函数のピークで、全国計=約45億枚、一人当り=約35枚の投函枚数と言われています。そしてこの20年後、2022年には約18億枚(一人当り=約14枚)と激減してしまいます。

ここまで極端に減少した理由はいくつかありますが、やはり一番大きなインパクトを与えたのは、Facebook等のSNS・LINE等のメッセージアプリの圧倒的な普及です。既に以前からメールは普及していましたが、年賀状への影響はありませんでした。大きな違いはデバイスが、PC主体から、スマホ完結型に変わったという点だと思います。マシンを立ち上げることなく、メッセージが来たら即返信できる、気持ち&ニュアンスを伝えられるスタンプ等の機能もある、特に若年層にとって、アナログな年賀状離れが進むのは必然でしょう。


年賀状離れを加速させたもう一つの点

しかし、若年層のトレンドだけでは、これまで全国民の一大行事だった年賀状が半分以下になる程のインパクトを生めるか疑問です。年賀状離れが進んだもう一つのポイントは、個人情報保護(プライバシー保護)に対する世相の変化でしょう。

個人間で繋がるSNSやメッセージアプリでは、個人の住所を開示するはずもなく、繋がりを拒絶したい時は簡単に「ブロック」もできます。それに対し、年賀状は「リアルな現住所」を、第三者の目にも触れる形でやり取りするので、客観的に考えてみると今の時代のプライバシー管理に完全逆行していますね。そしてこれは、世代を問わず全国民における懸念点となります。

年賀状は昭和のコミュニケーションを彩る素敵な年次行事だったと思います。しかし、コスト&手間を掛けてプライバシーを開示する今の形態のままでは、衰退を止めるのは難しいでしょう。我が家もですが・・年賀状の習慣から「フェードアウト」しようと検討している家庭も多いのではないでしょうか?