サッカーバッグは、エナメルからバックパックへ


一昔前まで、サッカー用バッグといえば「エナメルバッグ」一択でした。没個性な弁当箱のような形状で、サイズのバリエーションも大中小くらいしかなく、自分らしさを出せるのは色・ぶら下げるキーホルダー位・・。間仕切も、小物用ポケットもなく、ストラップは肩からズルズルすべり落ちてくるし、お世辞にも機能的とはいえなかった「エナメルバッグ」ですが、わざわざチームで揃えなくても、皆で同じようなバッグを持つことで生まれる連帯感・仲間意識が気持ち良かったような気もします。


主流だった「エナメルバッグ」ですが、大体2010年あたりを境に、ナイロン製のバックパック型へ一気にトレンドの変化が進み、今では「エナメルバッグ」を売り場で見かけることも殆ど無くなってしまいました。

理由は何と言っても、ナイロン製の「高機能」さに尽きます。エナメルバッグと比べて細かな加工がしやすいので、シューズと着替えの間仕切り、スマホなど小物を収納するポケットも備え、使い勝手がいい上に軽量と…機能面では比ぶるべくもありません。更にデザインも多岐に渡り用途・好みに応じた選択が可能に。丁度、ATHLETAをはじめとするファッション性の高いフットサル・ブランドが過熱したタイミングとも重なり、バッグの「派手化」に拍車が掛かりました。

また、ナイロン製バックパック型が一気に拡がった理由の一つとして、小学校サッカー少年のニーズがあったと考えています。軽量で肩の負担が少なく、両手を使えて、バッグがどこかに引っ掛かって転倒するリスクも軽減できます。また、小物を失くさないようポケットに分けて仕舞えるのもポイントかもしれません。サッカー人口は、小学低学年を底辺としたピラミッドで、学年が上がるほど競技人口は減っていきます。もっとも人口の多い若年層が使い始めたことでトレンドが加速し、学年が上がっても使い続けることで、時間の経過とともにサッカーバッグの勢力図は見事に塗り替えられてしまいました。


しかし、ここまでバッグの高機能化が進むと、エナメルバッグの不自由さも少々愛しく感じられ、あれはあれで味があったな…とも思います。

機能面では勝負になりませんが、あえて「エナメルバッグ」がナイロン製に勝るポイントに絞って考えてみました。

  • ナイロンより雨に強い
  • ナイロンより引っ掻き傷に強い
  • 大勢が集まった時に荷物を固めやすい
  • エナメルが剝がれてくると味が出る

個人的には「味が出る」のが最も好きな点ですね。