PC国内シェア、30年の変遷をたどる・・・
道具としてのコモディティ化が進んだPC
今や、PCなしで日々の業務を行うことは考えられないくらい、PCは当たり前のインフラになっています。2000年には、初めてノートPCがデスクトップの出荷台数を上回り、使用環境もオフィスの専用デスクから解き放たれ、文具並みに「自由な」ガジェットとして進化。ノマドワーカーという言葉が生まれ、カフェで仕事する人も増え、ワークスタイルは大きく変わりました。
以後、PCの国内出荷実績は、ノートPCがデスクトップをやや上回るレベルで推移しています。ノートPCに限れば、ノートに特化した東芝(Dynabook)がトップシェアを握った時期もありましたが、デスクトップ含むPC市場全体でみると、NECの圧倒的な強さが印象的です。
PC市場で台風の目となったレノボ
1984年に中国科学院の研究者が設立した「レノボ(Lenovo)」は、2000年以降のPC市場の大きな台風の目となりました。2004年に、ノートPCの名機「ThinkPad」を有する”巨人”IBM社のPC部門を買収。更にその後も、日本国内市場のキープレーヤーであるNECや富士通のPC部門に対しても資本投下を開始します。
NEC=49%・レノボグループ=51%を出資する合弁会社「レノボNECホールディングス」は、NECの子会社でPC事業を担ってきた「NECパーソナルプロダクツ」のPC事業部門を、「NECパーソナルコンピュータ」の名称で傘下に入れ、日本市場での勝負に向けて盤石の体制を敷きました。
国内出荷台数トップ5の変遷(3年刻み)
1990年代前半は、PC/AT互換機の大手コンパックが国内市場に参入し、ノートPCではエプソンが一定のシェアをもつなど、今とはまったく異なる様相のプレーヤーでした。今回は、PCが一気にコモディティ化した「元年」ともいえる、Windows95の発売年「1995年」以降の推移を追ってみます。
1995年 :
① NEC・ ② 富士通 ・ ③ Apple
④日本IBM ・ ⑤ 東芝
1998年 :
① NEC・ ② 富士通 ・ ③ 日本IBM
④ 東芝 ・ ⑤ 日立
2001年 :
① NEC・ ② 富士通 ・ ③ ソニー
④ 日本IBM ・ ⑤ 東芝
2004年 : ① NEC・ ② 富士通 ・ ③ デル
④ 東芝 ・ ⑤ 日本IBM
▼ 「ThinkPad」がIBMの手を離れてレノボ製品へ
2007年 :
① NEC・ ② 富士通 ・ ③ デル
④ 東芝 ・ ⑤ 日本HP
2010年 :
① NEC・ ② 富士通 ・ ③ 東芝 ・ ④ デル
⑤ 日本HP ・ ⑥ レノボ
▼ 業界1位のNEC+6位のレノボが統合しシェア拡大
2012年 :
① NECレノボ ・ ② 富士通 ・ ③ 東芝
④ デル ・ ⑤ 日本HP
2015年 :
① NECレノボ ・ ② 富士通 ・ ③ 東芝
④ 日本HP ・ ⑤ デル
▼ 東芝「Dynabook」の事業会社を、シャープが買収
2018年 :
① NECレノボ ・ ② 富士通 ・ ③ デル
④ 日本HP ・ ⑤ Dynabook
2021年 :
① NECレノボ ・ ② 日本HP ・ ③ デル
④ 富士通 ・ ⑤ Dynabook
2022年 :
① NECレノボ ・ ② 日本HP ・ ③ デル
④ 富士通 ・ ⑤ Dynabook